知っておけば安心!代表的なオーガニックコットン認証マーク4選

オーガニック野菜やオーガニックコスメなど、いろいろなオーガニック製品が人気をはくしていますが、コットン(綿花)にもその波が訪れています。
なぜなら、世界のコットンの農薬使用量は他のどの農産物よりも多いからです。また、コットンは主に開発途上国と言われる地域で多く栽培されているのですが、そこで働く人々の労働環境を改善していこう(フェアトレード)という動きも影響しています。

では、『オーガニックコットン』は本当に安全なのでしょうか?
だれがそれを保証してくれているのでしょう?

ちゃんと知っておけば安心、商品を選ぶのに役に立つ、代表的なオーガニックコットンの認証機関とそのマークをご紹介いたします。

オーガニックコットンと認証機関の役割

まず、『オーガニックコットン』には以下のような定義があります。

【農産物としてのオーガニックコットンの基準】
・2〜3年以上、農薬や化学肥料などを使用していない農地で、栽培時においても一切の農薬や化学肥料を使用せず有機栽培で手間ひまをかけた昔ながらの栽培方法で育てたコットン

有機栽培のコットン、安心しますね。
しかし、大切なのはここからです。
コットンを綿花のまま使用することってありますか?
クッションやぬいぐるみを作るときに綿として使用することがあるかもしれませんが、ほとんどの場合、私達が使うコットンは、衣類やタオル・ナプキンなどのコットン製品です。
材料にオーガニック野菜を使っていても、調理の段階で保存料や化学調味料がたくさん使われていたら、安全な食事とは言い切れないのと同様に、コットンに関しても私達が実際に使用する製品になるまでの段階で、健康に害のある化学薬品や漂白剤などが多く使用されていたら、それは安心な製品と言い切れないですよね。

我われ消費者にとって、分かりやすくて安心なオーガニックコットン製品を広めることを目的に、コットンの栽培方法についてはもちろん、そのコットンから製品になるまでの製造段階においても細かく目を光らせてくれているのが、認証機関です。
そして、不当な条件下での労働を余儀なくされ、農薬による危険にさらされている多くのコットン栽培農家にとっても、フェアトレードを条件とするオーガニックコットンの認証機関は大きな役割を果たしています。

認証機関は、消費者と生産者という両面から、オーガニックコットンを広める重要な組織なのです。

全てのオーガニックコットンは安心?

オーガニックコットン製品の市場は徐々に拡大してきていますが、日本においては、オーガニックコットンに関する法的基準がまだ整っていないという現状があります。
オーガニックコットンの表示に関しての指針は、平成21年に中小企業基盤整備機構がまとめた「オーガニックコットン表示ガイドライン策定に係る調査事業」となっています。
http://www.smrj.go.jp/keiei/seni/info/pub/053102.html

このガイドラインは、オーガニック製品の市場が拡大するなか、オーガニックコットンの適正な流通と、消費者が安心して商品を選択できるように定められました。
しかし、あくまでガイドライン。「業界全体でオーガニックコットンの表示はこうしましょう」という指針です。
法的に取り締まることはできません。
例えば、農薬を使用した安価なコットンを「オーガニックコットン」と表示して販売していたとしても、法律違反とすることができないということです。

私たちは、その製品を見ただけでオーガニックコットンなのかそうでないのかを判断することはできません。
そのような購入者側の不安を解消してくれるのがオーガニックコットン認証マークです。
製品を見ても判断は付きませんが、お墨付きのマークが付いていれば誰でも安心して購入することができますね。

オーガニックコットンの認証機関

世界にはいくつかのオーガニックコットンの認証機関があります。
そして、それぞれが基準を設けています。
各認証機関毎の基準をクリアすると、その認証が得られるということです。

ここでとても大切なことは、認証機関は利害関係の全くない第三者機関であるということです。それ故に、認証は公正かつ公平に行われていることが保証され、信頼性のあるものになります。

それでは、代表的なオーガニックコットンの認証マークを見ていきましょう。

代表的なオーガニックコットン認証マーク4選

Global Organic Textile Standard(GOTS)

GTOSは、オーガニックコットンの認証マークの代表と言っても過言ではない、オーガニック繊維(コットン、ウール、麻、絹など)の国際的な認証基準です。
その名前は、「Global Organic Textile Standard」の頭文字をとって付けられています。
GOTSの成り立ちを簡単に説明すると以下のようになります。

2002年当時、世の中ではオーガニック商品に対する関心が強まりだし、市場規模もどんどん大きくなってきていました。
そのような風潮は、オーガニック繊維に関しても例外ではありません。
オーガニック繊維が国の垣根を超えて国際市場に広まっていく中、その基準の整備は追いついておらず、各国で様々な基準が採用されていました。
そこで、世界での認証方法を統一し共通の基準を作ることを目的に、ドイツ・イギリス・アメリカ・日本がメンバーとなり、GTOSを策定する組織IWG(インターナショナルワーキンググループ)が立ち上げられたのです。

初めてのGOTS認証基準(Version1.0)は2005年に発表され、第三者認証機関によるGTOS認証が開始されました。
2008年からはロゴマークも導入され、GTOSの基準をクリアしたオーガニック繊維にそのマークが付与され始めます。
以降、時代遅れの認証基準とならないよう、専門家による審議のもと、3年毎にバージョンが更新されています。
現在の最新Versionは、2017年に改定されたGOTS Version.5.0です。

2013年時点で世界60ヶ国以上、3085件の認証工場/企業が存在していると言われています。
日本での第三者認証機関としては、Control Union JapanとEcocert-Japanが登録されていて、GTOSの認証業務を行っています。
2013年末で79件の企業/施設がGOTS認証を受けています。

GTOS基準の概要

GTOSには『Made with Organic』と、より基準の厳しい『Organic』の2種類があります。

2つの違いは以下です。

Organic:製品の95%以上が認証されたオーガニック繊維あるいはコンバージョン期間中(有機転換期間中)のもの
Made with Organic:製品の70%以上95%未満が認証されたオーガニック繊維あるいはコンバージョン期間中(有機転換期間中)のもの

GOTSの対象となる製品

対象となる繊維製品は、洋服・下着などの衣類、寝具・インテリア用品などのホームケア用品、ナプキン・化粧パフなどのコスメ用品、帽子・鞄・靴などを含むアクセサリー用品など、広く繊維製品をカバーしています。
また、オーガニック繊維以外の天然繊維と化学・合成繊維についても規定がされています。

GOTS認証基準の概要

原料 70%以上がオーガニック原料
一貫した認証 原料から最終製品まで、全ての工程をカバー
有機製品精度 オーガニック以外の製品との混同、汚染されない管理
雇用倫理 強制労働・児童労働の禁止
労働環境 衛生的で安全な労働環境と搾取のない労働条件である
差別禁止 差別禁止が実践されている
薬剤使用制限 廃水処理方法や生分解性の基準に基づき、毒性の強い薬剤を使用しない
GM 禁止 原料や助剤等に遺伝子組換技術は使わない
動物実験禁止 生体実験をしない
残留物 最終製品に残留物がないかチェック
環境配慮 水・エネルギーの使用や廃棄物に関しての環境目標を設置
トレーサビリティー 製品の追跡可能性の確保

引用元:GOTSホームページ

このように、GOTSはオーガニック繊維の原料から、環境的・社会的に配慮した製造方法までを網羅した、オーガニック繊維製品の要件を明確にした国際基準です。

Oeko-Tex®(エコテックス協会)

Oeko-Tex®(エコテックス®)は、一本の糸、一滴のインクから、製造工程、トレーサビリティに至るまで、全ての繊維ビジネスを対象とした、繊維製品の国際的安全基準です。
消費者にとって安全で環境にも配慮した繊維製品を継続的に生産していくことを目指し、1992年、スイス、ドイツ、オーストリアの検査機関によってエコテックス®国際共同体が設立されました。

現在は、スイスのチューリヒを本部を置き、認証機関の数は全国で18機関、そのうち17機関は欧州にあります。
その他の地域では、認証機関を持つ国は日本のみです。
唯一、日本の二ッセンケン品質評価センターが、その管理や試験体制、染色に関するノウハウを認められ認証機関となっています。

繊維産業は、CO2排出や水質汚染、労働者の健康問題など、多くの課題を抱えています。
Oeko-Tex®の目的は、そんな繊維産業の課題を改善しサステイナブルな繊維産業、そして、未来を広げるというところにあります。
そのために、350種以上の有害物質を対象とした世界最高水準の安全性の認証や、繊維生産にたずさわる人や環境への負荷にも配慮したサステイナブルな工場の認証などの任務を果たしています。

Oeko-Tex®の5つの種類

Oeko-Tex®には5つの認証の種類があります。
私たちが目にすることが多いのは、Oeko-Tex®STANDARD 100になります。

☆STANDARD 100(スタンダード100)
目的:有害な化学物質を含む繊維製品を市場から排除し、消費者および製造に関わる人に、安心で安全な暮らしを提供すること
対象:繊維製品及びそれに関連する物、一部工程(プロセス)

☆ECO PASSPORT(エコパスポート)
目的:有害な化学物質を含む化学薬剤(染料、助剤等)を市場から排除
対象:繊維用化学薬剤(染料、助剤、加工剤)

☆STeP(ステップ)
目的:持続可能な生産現場の構築
対象:施設、工場

☆MADE IN GREEN(メイドイングリーン)
目的:有害物質検査が実施された製品で、環境に配慮した生産現場で製造された製品
対象:繊維製品(中間製品含む)

STANDARD 100の4つの製品レベルについて

繊維製品とひとくくりに言っても、乳幼児のような敏感な肌にふれる製品や、直接肌に触れることの多い製品などと、カーテンやテーブルクロスなどの繊維製品では、求められる安全性のレベルは異なってきます。
そのため、Oeko-Tex® STANDARD 100は、製品の用途によって、classⅠ〜Ⅳまで、レベルが4つに分かれています
classⅠが一番厳しい基準で、数字が大きくなるほど基準はゆるくなっています。

classⅠ 36ヶ月までの乳幼児、幼児期に触れる繊維製品 ベビー衣料、パジャマ、シーツ、ぬいぐるみなど
classⅡ 肌との接触が大きい繊維製品 パンツ、タイツ、Tシャツ、シャツ、ブラウス、シーツ、布団、タオルなど
classⅢ 肌に直接触れにくい繊維製品 ジャケット、コート、ネクタイ、アウトドア用品など
classⅣ 装飾用途の家具、服飾品 テーブルクロス、カーテン、絨毯、クッション、椅子張り生地、壁紙など

引用元:Oeko-Tex®ホームページ

NOC(日本オーガニックコットン流通機構)

NOC(日本オーガニックコットン流通機構)は、純正なオーガニックコットン製品の普及を目的に1993年に発足したNPO法人です。
NOC認証は、第三者機関に認証されたオーガニックコットンを100%使用した純正な製品にNOC認証は発行されます。
それは、消費者に分かりやすくするため、そして、地球環境保全やフェアトレードなどの繊維・ファッション業界の未来に繋がる重要な意義をオーガニックコットンは持ち合わせているからです。

NOC認証ラベル

NOCは、『NOCコットンラベル』『NOCグリーンラベル』『NOCブルーラベル』の3つの認証ラベルを発行しています。

NOCコットンラベル


NOCコットンラベルは3つのラベルの中で最も高い基準のラベルです。
基準の概要は以下になります。

1.第三者認証機関が認証したオーガニックコットンを100%使用する。一般綿とは、いかなる理由があっても 混合しない。
2.化学合成繊維は混ぜない。伸縮性が必要な場合はスパン糸の混用規準を15%程度とし、混用内容はすべて表示する。ウール、シルク、麻などの天然繊維を混ぜる場合は、有機認証のあるものに限り、混用限度は40%とする。
3.化学薬剤による漂白、化学的染色、抜染又は防染、防縮、柔軟等はしない。安全性が確認された天然染料での染色はできる。
4.必要とされる化学合成の補助剤(糸のロウ付け、糊付け等)は常に最小限とする。完成品にそれらが残留しないよう十分に洗浄する。
5.オーガニックコットン以外の素材(裏地、刺繍糸など)の使用限度は、全体重量の10%とし、内容はすべて開示できるようにしておく。
6.ひも、ゴムひも、テープ、表示ネーム、ボタン、ファスナーなど付属材料は、生分解性の観点からできるだけ天然素材を使用する。
7.縫い糸は、できるだけ漂白、蛍光加工していないオーガニックコットンを使う。合成繊維の縫い糸を使用する場合、最小限とする。
8.中綿を使用する製品の中綿は、オーガニックコットンに限る。
9.製品プリントは、より安全性の高いインクを使用し、プリントの最大面積は本体面積の10%を限度とする。但し、安全が確認された天然素材でのプリントの場合は印刷面積の限定はしない。
10.洗浄の際はエコロジー、健康保持のため化学合成の洗剤を使わない(天然石けん、電解水、バイオ洗浄を推奨)。
※以上の使用限度を示す数値の許容誤差範囲は3%とする
引用元:NOCホームページ

NOCグリーンラベル

NOCグリーンラベルはNOCコットンラベルの基準を元に「エコロジーと人の健康」を重視しながら、オーガニックコットン市場の拡大のため、少し基準が緩和されたラベルです。
NOCコットンラベルとの主な相違点は以下の3点です。

1.スパン糸の混用規準は30%まで(NOCコットンラベル:15%)。
2.天然由来繊維の混用基準は50%まで(NOCコットンラベル:40%)。
3.オーガニックコットン以外の素材の使用限度は全体重量の30%まで(NOCコットンラベル:10%)。

NOCブルーラベル

素材は、日本国内でNOCコットン規準及びNOCグリーン規準に沿ったものが使われ、海外で仕上げられた商品に付けられる認定ラベルです。 NOCブルーラベルを取得するための、海外の縫製などの工場は、NOCの厳正な審査をクリアする必要があります。

NOCのホームページには、NOCの認証を取得している店舗やインターネットショップも紹介されているので、ご興味のある方は探してみるのもよいですね。

JOCA(日本オーガニックコットン協会)

JOCA(日本オーガニックコットン協会)は、日本のオーガニックコットン製品普及を目的に2000年に発足したNPO法人です。
オーガニックコットンのプロ育成のために資格取得講座を開催したり、オーガニックコットン栽培の支援のために国内でコットン栽培に取り組む団体、企業に対し、表彰やマッチングサービスも行っています。
2001〜2011年までは認証業務を行っていましたが、2012年4月からはGOTSの一員として、JOCAに賛同するメンバー企業に対し「会員タグ」を発行しています。
以下のJOCA憲章をご覧頂けると、JOCAの目的・意義がお分かりになられると思います。

【JOCA憲章】
1.遺伝子組換を行わず、出来るだけ化学薬剤を使わずに、有機的な方法によって栽培されたオーガニックコットンの原綿を使います。
2.オーガニックコットン製品の生産・製造工程においても、環境や人体への負荷を抑え、児童労働や人道的搾取をしません。
3.Made in Japan にこだわり、日本の技術を使い、オーガニックコットンの良さを最大限に引き出すように努めます。
4.顔の見えるものづくりを徹底させ、トレーサビリティ(追跡可能性)を確保し、安心・安全を提供します。
5.より多くの人たちにオーガニックコットンの良さを伝え、啓蒙普及に努めます。
引用元:JOCAホームページ

JOCA会員タグ

JOCAは、メンバー企業に対し『JOCAタグ』『ファミリータグ』の2つの会員タグを発行しています。
この2つの大きな違いは、、第三者機関による認証があるか否かです。

JOCAタグ


JOCA憲章に基づき、第三者認証機関により認証を受けたオーガニック材料から、人と環境に配慮した方法で、日本の技術と感性を生かしてつくられた製品

ファミリータグ


JOCA憲章に基づき、人と環境に配慮した方法で、日本の技術と感性を生かしてつくられた製品

終わりに

ご存知の認証マークはございましたか?
「オーガニック」という言葉は、残念ながら商業目的に使用されることもないとは限りません。
見た目では判断できないオーガニックコットン製品を見分けるための目印でもある認証マーク。
これからは、少し意識して探してみてはいかがでしょうか。